「この事、サーシャさんは…」

「…知らないよ」

「え…」

「隠すつもりはないんだけど…、言う機会がないというか。でもつくらないってことは、言いたくないのかな、俺は」




どうして…。



「サーシャの中で俺は、時々くる愛想のいい男の人でいたいんだ。血生臭い俺を、知られたくない」

「血生臭いだなんて…。国のために戦ってくださっているのではないですか」



それはきっと誇らしいことで。
確かに、戦というのは恐ろしく、あってほしくはないものだ。

でも、騎士さまは国を護るために戦ってくださっていることは国民の皆が知っている。




「あの、どうして王さまを花屋にお連れになったのですか?」

「ああ…、それはいずれアルさま自身が君に伝えるべきことだと思うから…。今のこの状況についてもね」

「それは、どういう…」

「でも、一つ知っていてほしいのは、アルさまは不器用で口下手なお方なんだ。誤解されることも多い。本当のアルさまを見てあげてほしい。とてもいいお方だ」

「本当の王さま…?」