私とクリスさんは場所を変え、私に与えられた自室で話をすることになった。



「なにから話せばいいか…」

「クリスさんのその格好…、騎士さまの格好ですよね?」


よく見ると、クリスさんは騎士の方が普段身につけている正装のようなものだ。
深めの赤を基調としたコートは前部分は短く後ろ部分が長い特徴的な形だ。
襟と袖部分は黒で、その下に着ているベストも黒を基調としたもの。

普段の護衛の時や、公務の時の護衛などで着ているもの。
城下を巡回されている騎士さまの一部の方が着ておられるものだ。

戦となると上のコートを脱ぎ鎧とマントを纏って向かっていくのを一度だけ見たことがあった。




「精鋭部隊の騎士服だね」

「精鋭部隊?」

「王さまに一番近いところで御守りする部隊と言ったらいいのかな」

「そんなすごいお方だったなんて…」



ガタイのいい方だけれど、虫も殺せないような優しい方だと思っていたのに。
騎士という事は、そういう事で…。