冷酷な王さまは愛し方を知らない



「で、ですが、こんなみすぼらしい私たちが王城に等と・・・」

「アルさまが、提案してくださったのよ。私が嫁ぐときと同じように」

「出産、そして育児というリズにとっても私にとってもはじめてのことを控えて、リズもお二人が側にいてくれた方が安心だと思うのです。落ち着くまででも構いません。この家はこのまま残しておき、いずれ戻ってこれるようにもいたしましょう」


二人は顔を見合わせる。
そこまで考えてくれるアルさまに、驚いている様子だ。
私も、この話を聞いたとき、そこまでしていただかなくてもいいと言ったのだ。

王さまであるアルさまの命令は絶対なのだ。
本来なら、最初に話を出されたときにお受けすべきところを、アルさまの温情で二人の意思を尊重してもらった。
アルさまがそうしてほしいと強く願うのなら、二人がいくら遠慮をしようと私が説得するつもりだった。
でも、アルさまは、二人の意思を最後まで思いやってくれて、ここまでの案を提案してくださったのだ。