「それに、二人には謝らねばならない」
「あ、謝るだなんて、なにを・・・・・・」
「二人の大事な娘を嫁にもらい、守ると言っておきながら、危険な目に遭わせてしまい、二人にもずいぶんと恐ろしい思いをさせてしまった。誠に申し訳ない」
王さまであるアルさまが、王妃の父母であっても頭を下げるなんて。
でも、それがアルさまのお人柄だと思った。
冷酷だと言われていたアルさま。
でもそれは、誰よりも国を思うからこそ、筆頭にたって戦ったり、孤高の存在であろうとした。
でも、その本質は。
誰に対しても紳士的で、まっすぐなお人。
そんなアルさまが、私は好きなのだ。
「そ、そんな! 王さまが頭を下げるなど、お止めください! 娘はもう王さまのもとに嫁がせた身。王さまに嫁ぐということがどういうことなのか、覚悟の上でしょう。ですから、こちらはなんの文句もありません」
「そうですとも。それに、娘は無事こうして戻って参りました。そして、見ればわかります。娘がどれ程幸せなのか。娘の顔を見ればよくわかるのです。お礼をいうことはあっても、王さまを責めたりなどあるわけがございません」
父に続いて母もそう言って頭を下げた。


