冷酷な王さまは愛し方を知らない



熱はゆっくりと静養していたらすぐに下がった。
心配性のアルさまの命令のもと熱が下がってもしばらくは安静との言いつけを守って無事に全快した私は、アルさまと共に両親のもとへと向かった。

私一人でも大丈夫だと言ったのだけど、自分も挨拶をしたいと言って聞かずぞろぞろと護衛をつけての訪問となってしまった。

「王さま! わざわざこのような古ぼけた家に御越しいただき・・・」

「よい。頭をあげてくれ。そのようにかしこまらずともよい。二人とも、もう私の父、母でもあるのだ。気楽に話してくれていい」

「そ、そのような、勿体無きお言葉。気楽になど滅相もない」


アルさまは、私を王城に迎え入れる際、両親のことも王城に住まわせてくれようとしたのだ。
しかし、両親は住み慣れたこの場所がいいのだとそれを断っている。
二人がそうしたいのならとアルさまは二人の意思を尊重してくださったのだ。

こうしてアルさまにたいして畏まってしまう二人だから、これでよかったのかもしれないと私は思った。