冷酷な王さまは愛し方を知らない


そこから城へは予定よりもゆっくりと進んだ。
私の体を思いやってくれてのこと。
馬車の通れない森の中では、歩くしかなかったけれど、アルさまが手を引いてくれ慎重に一緒に歩いてくれた。

アルさまはハラハラしたような、怖々とした顔で何度も大丈夫か、しんどくないか、調子は悪くないかと尋ねてくださる。
それが嬉しくて、そんなアルさまの姿に微笑ましくも思えて私は終始笑顔だった。


「アルさま、大丈夫です」

「いや、だが。足元に気を付けろ。森の中は歩きづらい。木の根や石がゴロゴロとしているからな」

「ふふ。わかりました。気を付けます」


必死に私と子供を守ろうとしてくれているんだわ。
本当に優しい人。
愛しい人。


「もう少しで村があります。そこで一度休憩しましょう」

「ありがとう」


先導してくれていたクリスさんが声を張る。
アルさまが私を気にかけて振り向く。
私は、大丈夫と笑顔で頷いた。