冷酷な王さまは愛し方を知らない


「おめでとうございます。リズ。アルさま。本当に、幸せな日ですね」

「おめでとうございます、アルヴィンさま。おめでとう、リズ。本当に、おめでたいな」


キースさんはビックリするくらいに泣いていて、はじめてそんな姿を見たためビックリするけどそれくらい喜んでくれてとても嬉しく思う。
クリスさんも優しい言葉をかけてくれ、心なしか瞳が潤んでいるようにも思えた。


「おめでとう。リズ」

「ありがとう、コハクくん」

「これからは、守るものが増えるんだな」

「守って、くれる?」

「当たり前」


コハクくんも、言葉をくれる。
きっと最初の頃なら考え付かなかった態度だろう。


「体は平気なのか? 子を宿すとつわりと言うものがあると聞くが」

「な、なんだそれは。つらいのか。横になるか。何かほしいものは」

「へ、平気です。時おり気持ち悪さが来ることがありますが、そこまでひどいものではないようです」


狼狽えるアルさまが珍しく、慌てて落ち着かせるように訴える。
アルさまもはじめてのことでわからないのだろう。
私も同じだ。
城に帰ったら色々と勉強しなくては。