アルさまにそこまで悲しませてしまって申し訳ない。
きっとご自身を責めたに違いない。
まだ怪我も完全に治りきってもいない中、私を助けるために軍を率いて奇襲をかけてくださった。

ああすることでしか、守れなかった私を許してほしい。
もっと違う方法があったかもしれない。
誰も悲しませず、毅然とした態度でアルさまの帰りを信じて戦う道も。


「アルさまが戻られます!」


従者が叫びながら小屋に飛び込んでくる。
私は思わず立ち上がり、小屋から飛び出した。

そこには遠くに対軍を率いてこちらに向かってくる金色の髪。
とてもきれい。私の好きないろ。

込み上げてくる熱さに瞳を滲ませて。
走り出したい気持ちをグッと押さえて待つ。

帰ってきてくださった。
あなたの、お父様よ。
そうお腹を包みながら心の中で呼び掛けた。

この事はまだキースさんにも誰にも言っていない。
一番にアルさまに言いたかった。