アルさまが仕掛けた奇襲戦はその日のうちに終息を迎えた。
ゼルダ王が降伏したらしい。

実は、アルさまを助けてくださった村人の中にはコールド王国の人もいたらしいのだ。
あの崖は国境にある場所で、過去の領土争いの戦争により元々コールド王国の領土だった場所がイリア王国の領土に変わっていた場所だった。
それは、前国王の時代で、イリア王国の領土になってまだ日は浅い場所であったためコールド王国との繋がりのある者たちが多く住んでいたのだという。
アルさまを助けてくださった村人たちが、アルさまから一通りのことを聞き、立ち上がってくださったのは、コールド王国にすむ国民に声をかけて有志を集ったのだ。
共に戦い、傲慢な国王を引きずり下ろすために。

元コールド王国の国民だった村人の話によると、随分強引な税の徴収をしたりとあの傲慢さは国民に対しても向けられていたらしく、不満はたまっていたらしい。
しかし、国王の報復が恐ろしく行動に移すものはいなかったのだという。

私によくしてくれていたマリアンたち使用人もゼルダ王には反論できる訳もなく、怯えていたようだった。
ただ、お礼をいっただけにも関わらずあれほど感動していたのだ、日々の待遇がどれ程のものだったのかと悲しくもなる。

そんな不満が募った国民は、アルさまが奇襲を起こすならと重い腰をあげ一緒に戦ってくださったのだという。
とても心強いことだったと思う。