「リズと出会って、アルさまは人を気遣うということを知りました。ただ先陣を切って剣を振るう力だけを誇示する、冷酷さを兼ね備えたアルさまでしたから。優しさを知ったというのでしょうかね」

「アルさまは、最初からお優しい方でした」

「それは、アルさまがリズの前ではそうありたいと思っていたからでしょう。それすら、それまでなかったことなのですから」


キースさんは私がすごいのだと訴えるように話す。
でも、本当に私にとってアルさまはいつだってお優しい、かっこいいお方だ。
それは最初から。
そう、出会ったあの頃から変わらずに。

不器用で、言葉足らずなところがあるお方だけど、心内はいつだって穏やかで優しかった。
そんなアルさまに、私は惹かれたのだ。