「あれがなんだというのです。髪などいくらでも用意できます」
「ほう。あれが偽物だと?」
ゼルダの眉がピクリと動く。
私は瞳が揺れないよう表情に力を込めて見据える。
「生首を送り付けるのはさすがに良心が痛んでな、髪にしてやったのだが。ならば、次は生首を贈るとしようか」
「っ!」
「クックッ、さあ交渉だ。王妃。このままイリア王国を我がコールド王国に受け渡せ。さすればこの国の民も、この城の者たちも悪いようにはせん」
ダメよ。
動揺させられてはダメ。
信じるのよ。…でも。
「お前も、俺様の王妃として迎え入れてやろう」
「…誰が、お断りします」
「ならば王族は皆処刑するまで」
ヒヤリと背筋が凍る。
その瞳は本気だった。
「1週間の猶予をやる。それまでに決めておけ」
「貴方には、屈しません」
「ならば、全戦力を持ってこの城を落とすまで。この王都が戦場になるのを見ることになるが、いいのだな」
ゼルダはそう言い残し、颯爽と馬に乗り去っていった。
ガクガクと震える身体。
グルグルと気持ち悪さがこみあげて口を押えて蹲る。


