穏やかな時間が流れていた。
コハクくんが掴んできてくれた情報と、セシリアの身柄。
その事でいろいろと動きはあるようだけれど、表立っては穏やかな日々だった。

アルさまに忙しすぎると指摘を受けてからは公務を程々に減らし、アルさまとの時間も大切にしている。
とはいえ、突然アルさまに公務や急を要する事柄が飛び込んできて置いてけぼりをくらうこともしばしば。

でも、すべてあの甘い夜のおかげで、乗り越えていける気がしていた。


「コールド王国に動きあり」


そう告げられたのは、夕食を済ませた頃。
騎士団長であるクリスさんからの報告だった。
クリスさんは定期的に、城下やその先、国内の巡回を行っており、安全を見まわると同時に情報収集を行っていた。
そんなクリスさんからの報告に、アルさまは一層険しい表情を浮かべる。