冷酷な王さまは愛し方を知らない



「養護施設か…。確かに、どうにかしないといけない問題ではあるな」

「はい。実際に目の当たりにしてしまうと、どうしても気になってしまって」


他にも問題はたくさんある。
関わりを持ったからと言ってそこばかりを気にしているわけにはいかないのだ。
国が発展していくために、良くしていくべきところは改善していきたい。
でもそれは、アルさまとて同じ想いだったようだ。


「やはり、リズは俺の思った通りの人だ」

「え?」

「温かな心を持った、人の想いに寄り添える人間だ」


真っ直ぐに褒められ、くすぐったい。
恥ずかしさに頬を染め、頭を撫でられれば一層照れくさい。
それでも幸せで、その大きな手にゆだねたくなる。


「少しでも、誰かの役に立ちたいのです」

「…一緒に、考えよう」

「はい」


アルさまがそうして、私と共に考えようとしてくれる姿がとても嬉しい。
後は任せておけ、とかお前は何も心配しなくていい、とかそんな言葉が投げられるかと思っていたのに。
私の想いを尊重しようとしてくれている。