王妃としての公務も少しずつ再開させていた。
アルさまはもう少しゆっくりしたらいいと仰ってくれたけれど、私は早く元通りの生活に戻りたかった。
アルさまをこれ以上苦しめたくない。
自分を責めてほしくない。
コハクくんにも、安心してもらいたい。
キースさんやクリスさんだって。
「本当に、ありがとうございます。王妃さまが視察に来ていただけるなんて、本当に光栄なことです」
「いえ。私にできることはすべてしたいのです」
城下にある養護施設。
両親を亡くした孤児たちが暮らす施設を王妃として視察に来ていた。
城下の現状を知るため、必要な公務なのだそう。
そこでの現状を聞き、今必要な事を共有していく。
今、この施設で一番困っていることは施設を出て行く子供の働き口だった。


