「リズとの日々が幸せで、自分が居る世界まで輝かしいもののように錯覚していた。俺がいる世界は混沌としていて、悪意に満ち、敵意や負の感情で渦巻いているのに」

「アルさま…」


哀しい。そんなの、悲しすぎる。
そんな世界が全てだと諦めてしまわないで。
やっぱり、結局そうなのだと思わないでほしい。

私との日々を幸せだと輝かしいものだと思ってくれたアルさま。
その幸せを持ち続けてほしい。
それがどれほど難しい場所にアルさまがいたとしても。


「アルさま。世界がどんなところでも、私は変わりません。私は変わらずアルさまをお慕いしています。私の側ではアルさまが心落ち着けるように、変わらず幸せを感じてもらえるように。そんな場所に私はなりたいのです」

「そんなの、もう十分になれてる」

「うそです。最近、アルさまは笑ってくださいません。いつだって苦しい表情を哀しげな眼をして…。そんなアルさまを、私はみたくありません」


いつでも笑っていてほしい。
でも、無理に笑ってほしいわけじゃない。
心の底から、幸せだと感じてほしい。