毒を入れた犯人が、セシリアだと知らされたのはそれから一週間後の事だった。
突如姿を消したらしいセシリア。
あの日も、急な欠勤だったという。


「どうしてセシリアが…」

「わからない。調べたが、セシリアの境遇からはどこともつながりは見つけられなかった」

「繋がり…」

「キースの見立てでは、それは作られたもの、もしくは別人の境遇を自分のものとしていたのではないかと」


誰かの人生を語っていた…?
そうやってこの城にもぐりこんだということ?

でも、信じられない。
だって、セシリアはとてもいい子だった。
いつだって一生懸命にお世話をしてくれていたし、とても暖かな子であったはず。


「信じられないのも無理はない。これまで、裏切りのそぶりを見せていなかったのは事実だ。だからこそ、だれも気づくことができなかった」

「私、一番側にいたのに…」

「自分を責めることはない。気づかなかったのは俺も同じ。今、騎士団がセシリアの行方を追っている。コハクもだ」

「コハクくんが…」

「あいつも、お前を護れなかったこと、悔やんでいる様だったからな。いい働きをしてくれるだろう」