冷酷な王さまは愛し方を知らない



私たちはそのまま王様と夕食をご一緒することになった。
ど、どうしよう。
食事のマナーなんてわからない。
目の前に広げられた豪華な食事。



皆が食べ始めても一人、手をつけられずにいた。

周りのみんなは、慣れた手つきで食べ進めている。
同じ庶民育ちの子も、挨拶同様堂々としたものだ。



「どうした。食べないのか」

「えっ、あ、あの…」



私の様子に気がついたのか王さまは不思議そうに問うた。
私は戸惑いどう答えていいかわからない。
マナーがわからないなんて、とても恥ずかしくて。

場違いすぎる。



「…ああ。マナーなら気にしなくていい。好きに食べればいい」

「え…。ですが…」



私の様子で気づいたのか王さまが気遣うようにそう言った。




「…それが嫌なら俺を見ながら食べればいい」

「王さまを…」



そう言われ、私は王さまの手元を見る。
見よう見まねでナイフとフォークを手に取った。
それを見た王様は、ゆっくりと私に見せるような動作で食べ始めてくれた。