「なによりも、貴方が無理をして心を傷つけてしまう事の方が我々には耐えがたいことです」

「…私は、なにもできない。アルさまのために、なにも」

「そんなことはありません」


庶民の出であることに負い目を感じる。
それが悪いことだと思っているわけではなく、やはり身についた教養や品位というものはやはり他の王族や貴族の方には劣ってしまうから。

いくらアルさまが認めてくれても、周りが温かく受け入れてくれても。
考えてしまう。

上品で美しい女性がアルさまにはふさわしいのではないかと。


「アルさまをあんな風に、感情豊かにしたのはリズさまです。今のアルさまは人間味に溢れているでしょう?」

「…はい」

「そう変えたのは、リズさまですよ。それはとてもすごいことなんです。誰もなしえなかったこと。だから、アルさまのお側にいるのは、リズさま以外にあり得ないんです」