冷酷な王さまは愛し方を知らない



「それより花…、声をかければ聞こえるの?」

「そうね…。聞こえているかはわからないけど、愛情を持って育てれば、花は応えてくれるわ」

「そういうものか…。アルヴィンも、時々花に話しかけてる」

「え?アルさまが?」



思わぬ言葉にコハクくんを見る。
アルさまが花に話しかけている…、想像のつかない姿だ。



「部屋にある赤い花。時々それに、話しかけてる」

「それって…、red dropsの花…」



初めて会った時、私がアルさまに贈った花。
あの花は、枯らさない限りさき続ける。
大事に育ててくださっていることは知っていたけど…。



「なんでコハクくん、そんな事知っているの?」

「盗み見は俺の専門分野」



こっそり覗いたのね。
確かに、そんな姿他に人がいる時に見せないだろうけれど。



「コハクくん、必要のない時には人の生活を覗き見るのはダメだよ」

「わかった。リズがそういうならやめる」

「うん。そうして」



純粋で、無垢なコハクくん。
ちゃんと話して聞かせればこうやって理解してくれる、とてもいい子だ。