アルさまから誕生日にと頂いた花壇。
温かな気候で少しずつ芽を覗かせていた。
「綺麗な花を咲かせてね」
声をかけながら水をやる。
種から育てた花たちは、芽をだし懸命に生きようとしている。
「声、聞こえてるのか」
「え?あ、コハクくん」
振り向くと隠密衣装のコハクくん。
訓練の最中なのだろう。
コハクくんは、あれ以来ちゃんと出された食事をとっているようだ。
時々私も一緒に食べる事もある。
少しずつここに馴染んできているようだ。
「アルヴィンは容赦ない」
「アルさまと訓練していたの?」
「あいつは訓練に私情を挟みすぎだ」
「私情?」
「俺がリズと仲良くするの、気に入らない。だから訓練で憂さ晴らしする」
うぅ―ん。
コハクくん本人に対してもそうなんだ…。
それは、私の事を想ってくださっているからだから、そのことはとても嬉しいのだけど。


