冷酷な王さまは愛し方を知らない



私たちの婚姻の儀は滞りなく執り行われた。
すぐに国民へも報せられ、城下は祝福モード一色らしい。

相手が庶民出身であることも伝えられ、城下の女の子たちは自分たちも…と夢を膨らませているとセシリアが楽しそうに話してくれた。
“リズさまは、庶民に夢を与えられたのですね!”そう言って。



「アルさまはこれから、一層お忙しくなります」

「え…?」

「リズさまも、王妃としてご公務に同行することも増えますから、そのつもりで」

「…はい」



王妃になるという事は、そういうことだ。
アルさまは、いつだって私のままでいいと仰ってくれる。

それでも、私はやっぱり堂々とアルさまの隣に並びたい。
その為には王妃として認められないといけない。



名ばかりの王妃では、いけないのよね。



「よし」



声に出して気合を入れれば、覚悟が一層強くなる。
アルさまのためにできることをしたい。

私がここに来た時からの願いだ。