「国民への通達は、掲示で知らせる。お披露目の儀も考えたが、お前の負担になってもいけないしな」

「アルさま…。ですが、必要な事なら私は…」



夜、時間を見つけ私の部屋を訪ねてこられたアルさまが婚姻の事を切り出した。
国の王が婚姻を結ぶ。
それはとても大きなことだ。

それを国民に知ってもらう義務もある。
それは、私にもわかる。

その方法は、王によってさまざまなのだとアルさまは言った。



「別に俺も、お前を見せびらかしたいわけではない」

「でも…」

「なんだ?国民の前に立ってみたいか?」

「え、い、いえそんな…」



悪戯にそう言われ、私は首を横に振る。
私なんかが前に出て、大したことは話せない。
失望されたくもない。



「でも、それで本当にいいのでしょうか」

「言ったな。俺は、王妃になってほしいわけじゃないと。お前がお前のままで側にいてほしいのだ。前例がないことなら、作ればいい」

「アルさま…」



どこまでもお優しいアルさま。
この優しさを、皆にもっと知ってもらえたらいいのに。