冷酷な王さまは愛し方を知らない



コハクくんが座ったと同時くらいにノックの音が聞こえ、カートに乗せられた料理が運ばれてくる。
昼食を私とコハクくんの分をここに用意してもらうようにキースさんに頼んだのだ。

テキパキと私たちの前に並べられる料理。
コハクくんが気を遣わないために、いっぺんに全てを出してほしいともお願いしている。



「…ねぇ、なにこれ」

「コハクくん、お昼まだでしょう?一緒に食べよう」

「……そんなことしていらない。わからない。なんでこんなことする」



怪訝な顔で私を見る。
本当に私がなんでこんな事をするのか、わからないという顔。



「キースさんに言わせれば、これはコハクくんが受け取るべき報酬だって。アルさまと契約を交わしたのだから、コハクくんは立派なこの国の従者の仲間入り。従者の衣食住を保障するのはアルさまの側近であるキースさんの仕事だっていってた」

「わからない。今までの依頼主にそんな奴いなかった。俺に頼むのは自分の手を汚したくなくて、自分じゃできない汚い仕事をさせたい時。そう言う事を企むやつは決まって、俺の事虫けらみたいに扱う。俺は、依頼をこなすだけでいい。それ以外、何も求められたり、必要以上の報酬を与えられたこともない」



今までになく、口数の多いコハクくん。
戸惑っているみたいだった。
どれだけの扱いをこれまで受けてきたのか。