冷酷な王さまは愛し方を知らない



私は、以前コハクくんを呼び出したいときにともらっていた笛を取り出す。
定期的にクゥちゃんでやりとりしていたし、使ったことはなかったから、初めてだ。

少し遠慮がちに息を吹きかけると綺麗な高音が出る。


少しして、部屋の戸が叩かれる音にハッとする。
そっと戸を開けると、その先にコハクくんの姿があった。
本当にこれで呼び出せるんだ…。



「なに」

「よかった。あの、今時間大丈夫?」

「俺の依頼主はお前だ。俺の時間はお前のもの。だから、そんなこと聞かなくていい」

「そっか。でも、コハクくんに他に用があるときは言ってくれたらいいからね」


コハクくんは全てが極端なのだと。
依頼人が全てでこれまでやってきたんだろうか。
コハクくんは、あまりピンと来ていない様子だったけど、小さく頷いた。



「コハクくん、ここに座って」

「…座る?」

「そう。私もコハクくんの前に座るから」



そう言って私はコハクくんに示した椅子の前の席に座る。
戸惑いながらもコハクくんはそこに座った。