私は紙とペンを用意する。
一枚はコハクくんに宛てて『私の事は心配しなくて平気。コハクくんこそ自分の事を考えてほしい』そう記した。
そしてもう一枚は、アルさまに宛てて。
読んでもらえないかもしれない。
でも…。
私の気持ちを知ってほしい。
最後に、私の想いを。
『アルさま
この度は、アルさまのお心を傷つけてしまい申し訳ありません。
ですが私は、アルさまを裏切ろうと思っていたわけではありません。
それだけは知っていてほしいのです。
私にはなんの力もありません。
なんの後ろ盾も、地位も、何一つ持ち合わせていないのです。
そんな私が、どうにかアルさまのお力になりたいと、アルさまをお守りしたいと勝手に思ってしまったんです。
ですが、その決断はアルさまをひどく傷つけてしまい、王族の人間としては選んではいけない道でした。
それでも、そうだとしても私は、アルさまが護られるのならいいと思ってしまったのです。
ですが、やはりこのような私ではアルさまのお側にいる資格はございません。
ここでの生活はとても有意義で、温かく幸せでした。
一時でも、このような幸せを頂き、ありがとうございます。
どうかお体にお気をつけて。
いつでもあなた様の幸せを願っております。
このような事を言う資格はありませんが、
アルさまをいつまでも想っております。
それだけは、お許しください。
リズ』


