冷酷な王さまは愛し方を知らない



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「そろそろ終いにするか」



広げていた書類をまとめ、トンと揃える。
凝り固まった肩を鳴らすように一度上下させ、時計を見上げた。

ここの所、リズとの時間をとれていない。
リズはリズで、レッスンを頑張っているようだとキースから聞いていた。
その邪魔をしてはいけないと自分の仕事で気を紛らわせていたらついやりすぎてしまった。


こういう時、どうしたらいいかわからない。
どの程度わがままを通していいのか。



「いい加減、触れたいんだが…」



俺も男だ。
それなりの欲はある。


だが、それをどう表していいのかわからん。


ひかれたくはない。
丁度いい具合が測れない。




「アルさま…!」



ノックもそこそこに突然入って来たキースに怪訝な視線を向ける。
いったい何事だ。
ここまで動揺した様子も珍しい。