冷酷な王さまは愛し方を知らない



コハクくんとのやり取りは二日に一遍ほどの頻度で繰り返される。
今のところ目立った情報はなく、暗殺を企てている人の動きもない様子だった。

でももし、動きがあった時私はどう動けばいいんだろう。


そのこともちゃんと考えておかないと…。



その時。
窓の外からコツコツと音が聞こえる。
いつも、コハクくんの子ザル…クゥちゃんがやってくるときの音。

今回は少し早い。
昨日も来ていたのに…。



そう思いながらカーテンを引く。
やっぱり、クゥちゃんだ。



「クゥちゃん、いらっしゃい」



窓を開くと一目散に中に飛び込んでくる。
私の服の袖を掴むとグイグイと窓の外へと引っ張っていこうとする。


「クゥちゃん!?どうしたの?」



切羽詰まったようなクゥちゃんの様子に戸惑いながら声をかける。
クゥちゃんはキィキィと泣き声をあげながら私をどこかへ連れ出そうとしているようだ。



「クゥちゃん、外に連れていきたいの?私はここからじゃいけないよ。外に行くのね、回っていくから落ち着いて」



そう声をかけるとクゥちゃんはその言葉を理解したのか私の服から手を離し私を見上げると、タッと窓から飛び出していった。