冷酷な王さまは愛し方を知らない



幸せに心が満たされる。
サーシャさんには幸せになってほしかった。

だから、とても嬉しい。
サーシャさんにとっても、きっとずっと望んでいたことだっただろう。



ああ、嬉しい。



部屋に戻り、紙とペンを取り出す。
次にコハクくんから連絡が来るのはいつだろう。
それまでに、名前を考えておかなくちゃ。



あの子ザルは男の子みたい。
そして、コハクくんの相棒…。


そうだ。
思いつき私はペンを走らせた。



『コハクくん。子ザルの名前決まったよ、クゥちゃん。コハクくんの最後の人文字取っただけなんだけど、呼びやすくていいかなと思って』



そう書いて届けた手紙の返事は。



『了解した』



なんとも端的な了承の言葉。
本当に、なんでもよかったんだ。



コハクくんって、いったいどういう人なんだろう。
どんな風に生きてきて、なにを思っているんだろう。


わからなくて、知りたくなる。