冷酷な王さまは愛し方を知らない



「あの、お気になさらないでください。本人がああいっていますので。では、失礼します」



アルさんにキースと呼ばれたその人がフォローのようにそう言うと頭を下げ、アルさんと共に行ってしまった。
本当に私ったらドジというか、馬鹿というか。

つくづく情けなく思う。



「大丈夫?」

「あ…、うん。ごめんね」

「いや。まったく口をはさめる感じじゃなくて助けられなくてごめん」



落ち着いたのを見計らったようにユナが声をかけてくる。
ハラハラしたに決まってる。
ユナにも申し訳ないことをした。



「ううん。私が悪いの。ごめんね、巻き込んで」

「いや、私は全く。さっきの人、知り合いだったの?」

「知り合いというか、この間お店に来てくれたの」

「へぇ。お客さん。花に興味があるようには見えなかったけど」



ユナの発言に思わず吹き出した。
まったくもってその通りだったから。
本人も、興味がないと言っていたしね。
傍から見てもそうなのだと思った。