「なってません!そこはそうじゃないと何度も言ってるでしょう!」

「す、すみません!」



ビシッと手を叩かれ、頭を下げる。
今はマナー講習の真っ最中。

劣等生の私は何度も何度も、こうして叱られながらマナー講習を受けていた。


何度繰り返しても、考えながら動けば動作が遅れ、考えなければどう動けばいいのかわからなくなる。

途方のないドツボにはまっているような気がした。



「はぁ…」



先生であるメアリ先生が深いため息を吐く。
呆れられているのがヒシヒシと伝わり胸が痛い。


「あの…、すみません。物覚えが悪くて…」

「ああ…いいのよ。マナーを身につけるというのはとても大変なことなの。それが王妃のものとなればなおさらね」

「…はい」

「ただのマナーなら多少ぎこちなくてもマナー自体がちゃんとしていればいいの。でも、それが王妃ともなると、手本になるものに仕上げなくてはいけないのよ」