でも、お金のために王族に取り入ろうとする人がいたり。
簡単に裏切ったり、暗殺を企てたりする人がいることを知った。


きっと、まだ私の知らない目を覆いたくなるような現実があるんだろう。
その世界から私を遠ざけようとしてくれたんだ。


「だが…、今回俺の知らないところでお前が危険な目に遭って、それは確かにまた俺と関わってしまったからではあったが、…それでも、間に合わなかったらと思うと生きた心地がしなかった」

「アルさま…」

「それで思ったんだ。遠ざけたところで、俺はお前が無事かどうか気になって気が気ではない。ならば俺の側に置いて、俺がこの手で護ればいいのだと」



なんと言う理屈なのだろう。
私を護るため遠ざけたり、今度は私を護るために側に置こうと考えるなんて。
極端すぎる思考が、アルさまらしい。

きっと、知らないからだ。



「お前に側にいてほしい。その気持ちを偽るのをやめた」

「私に…」

「お前はいつも正直に気持ちを伝える。だから俺も、ありのままを話したつもりだ。変な事を言っていたらすまない」

「いえ…。アルさまのお気持ちが聞けて嬉しいです」