冷酷な王さまは愛し方を知らない



じゃあ、やっぱり見間違いだろうか。


「どうかした?」

「え?あ、ううん。知ってる人がいたような気がして」

「そりゃあ、城下の女の子みんな来ているしね」

「女の子じゃなくて…」



でも、きっと気のせいだわ。
そう思って私も料理に手を伸ばした。

どれも美味しそう。
どの料理も、早々食べられるものじゃない。

音楽はいつの間にか変わっていて。
私たちを置いてけぼりにフロアは盛り上がっていた。




「そうだ、王さまってどこにいるんだろ」

「さあ…。どこかで見ているのかしら」

「自分の婚約者を探すって言うのに、いないなんていいのかしらね」



ユナが首をかしげながらそう言った。
この舞踏会でどうやって決めるんだろう。

なにが決め手となるんだろう。
でもやっぱり、もう決まっている事なんだろうか。



「王さまってどんな人か知ってる?」

「わからないわ。肖像画だってないし、王位を継承されてまだ1年も経っていないもの」