「ほんと、感情がないみたい。まぁ、よくやったわ」
コツ、コツ、と足音が近づく。
薄暗い部屋の中、ゆっくりと人の姿が浮かび上がる。
「ル…ルナさん……」
「あら、覚えていたのね」
それは紛れも無いルナさんで。
腕を組み、私を見下ろす。
その服は、王城でのルナさんとはまるで違い、薄汚れ所々ほつれも目立つ。
領土を剥奪され、国外追放されたというルナさん親子。
どうしてここに…。
「イリア王国には行けないからね、そいつを使って連れてきてもらったのよ」
「どうして…」
「どうして、ですって!?あんたのせいで私の人生めちゃくちゃよ!」
ルナさんが声を荒げる。
私のせい…。
違う。
ルナさんが自分自身で台無しにしたんだ。
アルさまを裏切って、傷つけようとした。
それなのに…!
「あと少しだった!あと少しでお父様に認めてもらえたのに!」
「ルナさん…」