冷酷な王さまは愛し方を知らない




次に目を覚ましたのは、見覚えのない薄暗い場所だった。
少し埃っぽいその場所は明かりがついておらず薄暗かった。


身じろぐと私の両手は後ろで縛られている様だった。



「…起きた」



突然聞こえたその声にビクッと身体を震わせる。
薄暗い中で目を凝らすとうっすらと少し離れた場所に座る人の姿。



「誰…」

「…コハク」



私の問いに、思ったよりも素直に答えるその人物。
私は呆気にとられた。
そう言うのって、隠すものじゃないの?


「どうしてこんなこと…」

「頼まれた」



淡々と、感情のない声でそう言う。
頼まれたって、誰に…。


誰かが私をこんな目に遭わせてって頼んだという事…。
そんな……。



誰かから、憎悪を向けられたことなんて今までなかった。
でも…。