冷酷な王さまは愛し方を知らない



もどかしい気持ちを抱きながら私は家に向かい歩き出す。
いろんな考え方があって。
いろんな生き方があって。

きっとどれも誰かにとっては正解で、どれも誰かにとっては不正解だ。


私には、お金のために結婚なんて考えられない。
でも、きっとミリアさんはどんなことよりも今の生活から抜け出したいと思っていて。
それを否定することは、できない。



「…っ」



突然、あまりに突然に、私は後ろから口を押えられた。
抵抗するまもなく意識が朦朧とし、私が身体を軽々と抱え上げられたのを最後に意識を手放してしまった。


恐怖する暇もなく。
とても手際のいい行動。






薄れゆく意識の中で、「ごめんね」と小さな呟きをきいた気がした。