冷酷な王さまは愛し方を知らない



私の怪我も大したことはなかったため、2日ほどの休みをもらってから復帰した。
正直、あの時の事は恐ろしく恐怖感を忘れることはできない。

でも、それ以上にその後のアルさまとの一時が戦の恐怖よりも幸福感を増させた。
だからと言って私とアルさまの関係には何の変化もなく、一国の王さまと庶民の花屋。



それは、アルさまへの気持ちを抱いた時からわかっていたことだからなんの文句もない。
ただ、想いが通じてアルさまにも私を大切だと言ってもらえたことがただただ幸せ。


先の未来がなくても。
共に歩む道がなくても。



「リズ、この花たちを店先に出してくれる?」

「はい」

「たくさんあるからゆっくりでいいわ」

「はい」



結局、あの日の買い付けのやり直しはサーシャさんがいってくれた。
無事にやり遂げられなかった後悔は残る。

サーシャさんは、戦は仕方のないことだと言ってくれたし、また次の機会をくれるとも言ってくれた。
私はその言葉を励みに頑張るしかない。