冷酷な王さまは愛し方を知らない



「側に来い」


アルさまはそう言って、ゴソゴソと布団の中でうごめくと私の身体をグイッと引き寄せた。
腕の中に抱きしめられ、すっぽりとおさまってしまう。


「あ、アルさま…」

「人は、こんなにも暖かいのだな」



そんな風に言われたら、恥ずかしいから離してください、なんて言えない。
私は抱きしめられるままにじっとしていた。

でも、嬉しい。
幸せだと思う。


こんな風に側にいられるなんて。
もっと早く、アルさまの事を知っていたら。


候補者選びの時に、もっと近くにいられたのに。



そんな事を言っても、後の祭り。


今をめいいっぱい楽しまなくちゃ。




「また、花屋に会いに行く」

「…はい」




その言葉にうれしくて頬が緩む。
幸せを、噛みしめた。