冷酷な王さまは愛し方を知らない



窓から差し込む朝日に目を覚ました。
ゆっくりと瞬きをし、ふと寝返りをうつと、目の前にアルさまのアップ。


「あ…っ!」


自分の状態を思い出した。
そうだ。
昨日は遅くまで語らい、離れがたくてそのままソファでウトウトしてしまって…。
でも、ベッドに横になった記憶がないということは、アルさまが運んでくださったんだわ。


恥ずかしさに顔に熱が集まる。


穏やかな寝顔。
いつまでも、見つめていたい。


昨日…。
アルさまと想いが通じあったのよね…。
夢みたい。


だからといって、なにかが変わるかはわからないけれど。
例え、アルさまと共にいる未来がなかったとしても、想いが通じあったというこの奇跡があれば生きてゆける気がした。

アルさまは一国の王。
私はその国の国民。


その差は埋まることはきっとないもの。



「ん…。なんだ、起きたのか…?」

「あ…アルさま…」



ぼんやりと目を開いたアルさまがまだ眠たげな表情でそう言った。