冷酷な王さまは愛し方を知らない



「触れても…、いいか?」

「…はい」



トクン、と胸が跳ねる。
少し躊躇いがちな手が伸びて私の頬に添えられた。



「痛むか…?」

「…いえ」

「腫れてしまったな」

「仕方ないです…。アルさまのせいじゃありませんから、そんな顔しないでください…」




私なんかより痛そうな顔。
私のために、そんな顔をしないでほしい。
アルさまにはもっと笑ってほしい。



「…本当に、お前に会う度お前への気持ちは溢れていくばかりだ」



困ったようにそう言うと、アルさまの手が私の首筋に伸びそっと私を引き寄せた。
近づく顔。
そっとその唇が触れたのは、私の額だった。


「え…」

「痛むだろうから、今はここで我慢する」




我慢する、だなんてなんだか可愛らしいことを。
優しさを可愛らしいだなんて失礼だろうか。
きょとんとした表情を笑美に変え、私は思い切ってアルさまに抱きついた。



思いが通じる。
それは、こんなにも幸せな事なのだと知った。