「アルさまは汚れてなんておりません。お優しい心を持った方だと知っています」
「俺を…好いてくれてるというのか?」
「はい」
「なぜ…」
私の事を好きだと言ってくれたアルさまは、私の言葉が腑に落ちない様子。
「なぜ…とは」
「王妃になることを、あれほど嫌がっていたではないか。金で心は動かせないと」
「確かに、そうでしたが…。私は、王妃になりたいからアルさまに好きだと言っているわけではありません」
最初は確かにそうだった。
アルさまに直接そう伝えたりもした。
その時の本心だった。
まさか、その先にこんな未来が来るなんて思ってもみなかったもの。
「アルさまと話して、アルさまを知って、アルさまの人柄に惹かれたのです」
「金意外で、得たのは…初めてだ」
きょとんとした表情でアルさまが言った。
その表情さえも愛しく思えて思わず笑う。