「無理しなくていい。恐ろしいのだろう。…悪かった。お前の事が気になって何も考えず来てしまった。後処理を済ませてくるべきだった」
私がアルさまを拒んでしまったから。
アルさまの事、怯えてしまったから。
気にされているんだわ。
「違います…!確かに、確かに怖ろしく怯えてしまいましたが、それはああいう戦の場が初めてだったからです。自分の考えがいたらなかったからです!」
戦の恐ろしさを、どこか甘く見ていた。
その、私の無知さが招いたこと。
穏やかな、冷静な心で人を殺せるわけがない。
それでも、心を鬼にして、時には無情に人を殺さねばならない時がある。
それが戦なのだと。
戦なんてなくなればいい。
その議論は、今はお門違いなのだと。
「助けていただいたことは、とても感謝しています!アルさまがご無事でよかったと思っているのも本当です…!」
「…俺は、助けられたのか。頬が腫れている。恐ろしい思いをしたのだろう。すまなかった」
どこか弱々しい声でアルさまが言う。


