冷酷な王さまは愛し方を知らない



いつの間にか眠ってしまっていた。
目が覚めたのは部屋の外が何やら慌ただしくなってきたのに気付いてから。



「…アルさま…?」




戻って来られたのだ。
きっとこの騒々しさはそのせいだと立ち上がる。

慌てて部屋を出ようと飛び出すと、私が部屋の扉を開くより先にその扉が開かれた。




「リズ…!」




焦ったような声。
切らした息。

肩を上下させ、苦しそうな呼吸。
待ち望んでいた姿。



「アルさま…!」



私は思わず。
そう、思わずアルさまの身体に抱きついていた。


ご無事だった。
生きていた。

戻って来たのだ。



泣き出したくて。
叫びたくて。



ああ。
ああ…!




「よかった……っ!」



ただそれだけを願う。
アルさまは、私を振り払う事もせず、抱きしめ返すこともせずただ、私に抱きつかれたまま呆然と立っている。

私は少しして体を離した。