冷酷な王さまは愛し方を知らない



サーシャさんに事情を説明し、私はもう来ることのないと思っていた王城に来ていた。
以前私にあてがわれた部屋。
そこは、私が使っていた頃と変わらなくて少し懐かしく思えた。



「リズさま。ご無事でよかったです」


ホッとしたように迎えてくれたのはセシリアだ。
3か月私のお世話をしてくれたメイド。



「リズさん、手当てを」

「ありがとうございます」


キースさんが私を椅子に案内し、救急セットを持ってきてくれる。




「医師の免許も持っていますので、ご安心ください」

「え…、キースさんお医者様でもあるんですか?」

「いえ、免許を持っているだけです。アルさまのお側にいるのに、役に立つこともあると思いまして」



キースさんって、本当にアルさまの事を大切に思っているんだ。
キースさんに手当てをしてもらう。

擦り傷や切り傷、打ち身程度で怪我自体は大したことなかった。