冷酷な王さまは愛し方を知らない



「サーシャさん、ありがとうございます…。私の事話して助けてくれて…」

「そんな事、当然でしょう」

「クリスさんの事…」



どう思っただろう。
クリスさんが騎士団にいると知って。
今、クリスさんが戦場にいると知って。



「ああ…、クリスの事なら知ってたの」

「え…」

「クリスが、隠している様だったから、知らないふりをしていただけ」

「そうだったんですか…?なんで…」

「クリスの気持ちもわかるから。私に心配をかけたくないって気持ち」



クリスさんの気持ちわかって、黙ってたんだ。
それなのに、私のためにクリスさんの元に走ってくれた…。

サーシャさんにも、クリスさんにも申し訳ない。



「私は、これでよかったって思ってる」

「え…」

「知らんぷりして、心配していないふりするのはもう疲れたよ。これでちゃんと堂々と心配できる」




サーシャさんはそう言って笑った。