幸い、戦の真ん中に巻き込まれるということはなかった。
けれど、遠目にわかるほど勢いづいた騎士たちの姿が見える。
鎧も掲げている旗も、見覚えのないものだ。
私が見たことのあるものはイリア王国のものだけだ。
それはつまり、あの騎士たちはイリア王国の人たちではないという事。
見つかってしまってはまずい。
戦について疎い私にでもわかる。
いわば敵国という事。
掴まれば、何をされるかわからない。
買い付けた花を握りしめ、私は一目散に駆け出した。
「なんでこんなところに女がいんだ?」
「戦なんて命惜しいし、サボろうと思って前線から離れたけど、ラッキーだなぁ」
男たちの声。
いつの間にか、男たちに囲まれてしまっていた。
遠目に見えるあの旗印と同じ紋章のついた騎士服を着ている。
銃装備ではなく、簡単な鎧をつけた姿。
騎士団ではなく、一般から募った兵士なのだろうか。


