冷酷な王さまは愛し方を知らない



「あんな風に、誰かに興味をもたれたのは初めてだった。だから、応援したいと思っていたんだ…」

「クリスさん…?あの、言っている意味が…」

「アルさまは、リズの事を気に入っておられたんだよ」



アルさまが…?
まさか。そんな。
だって、私は庶民で。

アルさまとは一度花屋でお会いしたくらい。
候補者としての時間だって、大したことをしたわけじゃない。
きっと貴族や王族の方の振る舞いとは比べ物にならない。
冗談にしても、引っかかりようのない冗談だわ。



「だから、俺はリズが正式に選ばれ、そこでちゃんとアルさまの口から説明がなされるものだと…」



クリスさんがそう言いながら頭を抱える。
だから、詳しいことはアルさまが仰ると以前言われていたの…?

でも、その話が本当だとしても理解できないわ。
どうしてアルさまが庶民である私なんかを。



「結局アルさまは、心を閉ざしてしまった。いい兆候だと思っていたのに…」

「あの…」

「ごめん。こんなことを話しても、リズにはどうすることもできないことなのに」

「いえ…」