悪阻の方も安定期に入ったこと治ったので、三ヶ月の自宅療養を許された。
















最初にあった頃より随分と痩せてしまった…。
















もともと、悠は痩せていて妊娠もしているのに。
















「悠!迎えに来たーーーー!」

















その日の向かえは麗だった。

















とにかくこのときは皆が皆誰も、悠の死について考えたくなかったんだろうと思う。
















「ふふっ。相変わらず、元気だね。麗は。」

















そういう君は、元気とは程遠い。
















ダメだ。
















子供ができて、うれしいはずなのに。
















どうしても。離れない。悠の死期。
















俺はこんなに弱い人間だったか?















「大丈夫?優喜…?」
















突然、おでこがひんやりした。
















「なんだ。」

















俺が鬱陶しそうにいうと、怒った顔が目の前に来た…。
















ひんやりしたものは悠の手だったのだ。

















「なんだ。じゃない!優喜なんで言わないの!?熱あるじゃないっ!」
















それから、悠は麗たちと無理やり自分が退院した病院に俺を連れ込み、姉貴に診察させた。
















心因性の発熱だそうだ。















一回、すごい剣幕の悠を診察室から出した姉貴は、俺と話始めた。
















「珍しいこともあるものね。あんたが悩んで熱だすなんて。まぁ、気持ちは凄く痛いほど分かるけど…」

















慰めの言葉なんか要らねえ…。
















そう思って、姉貴を無言で睨めつけた。

















しかし、姉貴は普段の姉貴からは考えられない行動に出た。

















ポンポン
















「フフッここまであんたが、弱ってるとわねぇ。


優喜。なにもできない自分に悩むな。


なにもできないなら、なにかできる道を進んで行け。


だいたいねぇ。
普段なれないことするから熱なんてだすのよ。」

















話してる間、姉貴は俺の頭をずっと撫でていた。
















「あぁ。俺は医者になる。」















「そうよ。それでいいの。」

















それから数日。

















俺は毎日、死ぬほど勉強した。
















悠に“医者になる”というと、「うん!いいと思う。」応援してくれている。
















蘭、沙羅、雷、この3人も医療系の道へ進むことを決めた。
















沙羅はなんの問題もないが、麗が壊滅的に勉強が出来ないので、沙羅に毎日扱かれている。
















蘭は沙羅と一緒にいるだけあってか、凄く賢いのでこちらも問題なさそうだ。

















俺は分からないところを月冴に聞くようにしていた。
















月冴の今の仕事の頻度は少く、前の長期任務を成功させた褒美だそうだ。















「長期任務成功させといて良かったぜ。悠の側に一日でも多くいたいからな…。」
















ひどく悲しそうな顔でそう言っていた月冴が、目の裏に焼き付いている。








勉学に励んでいるなか、毎日悠は皆の昼飯、夕飯を作ってくれていた。
















勉学に励んでいない下っ端まで。

















ザッと500人ぐらいだろうか。

















しかし、最後の神様の情けなのか。今までの悠の病状が嘘みたいに落ち着いていた。