別に今宵が二人にとって初体験の日であったとか、そういうわけでもなかった。

付き合い始めて1ヶ月。

それは日によって、なんとなくそうなる時もあれば、誘ってOKをもらい重なる日もあったわけで。

だから今さらそんなことくらいでこうなるとは……



「っ……/バタン!」



膨れた顔を振り返らせて、何も言わないまま勢いよく部屋の扉を閉める柚。

軽く焦りながらも、たまにはいいクスリと自分自身に言い聞かせてみたけど

結局最終的に苦しむのは、なぜかオレだったり…(汗)




それから3日間連絡無し。

なんで!?



一日目、なんの連絡もないのはバイトが忙しかったんだろうと自分を落ち着かせる。

二日目、オレから連絡するのも悔しいと強がりつつも、携帯を開いたり閉じたりしながら夜を過ごす。

三日目、大学でなら会えるからと何事もなかったように振るまいながら講義に出ると、どこにも見当たらない柚の姿。



さすがにかなり焦って友達に声をかけた。



「ねぇ、柚知らない?」

「おぅ陸。なんだ、柚ちゃん見失ったの?しっかり捕まえとかないと柚ちゃん可愛いからさらわれるよ〜」

「バ~カ。子供じゃないんだからそういうのは無いって」



こいつは初めて柚と会った飲み会の席で、柚にオレを紹介した同じ学部の斉藤純平。

いい奴なんだけど、すぐオレをからかおうとするから時々厄介。



「バカはお前、そういう意味じゃないっつーの。誰かに取られても知らないぞってことだよ。お前らいつも一緒にいたじゃん。やっと付き合い始めたと思ったら早くもケンカ?」

「いや…、そういうんじゃ……」

「っとに。だからお前は分かりやすいんだからさぁ。何が原因か知らないけど、オレに相談しとけ、な?」



なんとなく不安。

でも、言える場所はここにしかないかとも思い



「まぁ、実は……」



オレは事の経緯を純平に話した。