雪のなかに猫





いよいよ、城内家と田端家の仲を取り持つ日が来た。朝から何処かのホテルにきてバタバタとせわしく動き回るウチの田端さん。





「お嬢ーー!!部屋にいろって言ってたでしょーぉー!」




ドレスを着てモモを抱えてウロウロしていたら、やっと見つけたと私に駆け寄り肩をつかみゆさゆさと揺らす。




「うぅ……暇だったから仕方ない。」




「ちげーです!!大人しくしてないとダメなものはだめ!!」





そう言って私の腕をつかみ部屋に向かって歩く田端さん。田端さんについて行ってると、誠さんに良く似た男性と優しそうな女性と男性が目に映る。





「誠……さん……」


「え?なんて?」





私のつぶやきが聞こえていたのか田端さんが止まらず聞いてくるがこの際だから無視した。





部屋につくと、両親がいて私を見る。





「遥……すまないな……」



「え……」



「田端さんとの仲をとりもつためにお見合いしてもらって……」





いや、違う。そんなことを聞き返したんじゃない……今遥って……初めて名前……え?お見合い!?




「なにそれ聞いてない!!お見合いなんてやだ!!私には、好きな人がいるの……お見合いなんてしない!」




そう言って叫ぶと同時に背後から声が聞こえてくる。
またまた同時に田端さんの‘あれ?縁談って言ったよね?’なんて言葉が聞こえてくるが無視。





「好きな人って……俺の他にいるの?遥」



「え?」





聞き覚えのある声に振り向くとそこには……



スーツを着た誠さんがいた。
驚いて声も出ない私を他所に誠さんは私に近づき頬に手を当てる。




「俺より好きな奴がいるの?どこの誰?俺より頭いい?かっこいい?」





誠さんらしかぬ言葉を聞きながらも戸惑っていると誠さんはにっこり笑う。





「驚いた?」



「うん。」



「好きな人いるの?」



「いない。」



「俺は?」



「好きな人?」



「なんで、疑問なのよ」




なんて笑いながらも私を抱きしめる。
そして耳元で、会いたかった。と呟かれますます頭が動かなくなるが……女性の声でハットして、誠さんと離れる。





誠さんが少し寂しそうにしていたがそれどころじゃない。両親の顔を見るも、座りなさいと言われるだけで、挨拶をして席に座った。





「あなたが遥ちゃんね?」



「は、はい!」




私は両親に挟まれるように席に座る。そうしたら、母の前に座った女性が私に話しかけてくる。





「誠からはよく話を聞いているわ!美紀や松騎にもね!」



「は、はい。」



「あ!ごめんなさい!私、誠の母の優希(ゆうき)よ!」



「城内遥です。」




なんか、美紀さんに似てキャピキャピしる。





「私は衛(まもる)。誠からは話を聞いているよ。そこでだ、君の両親から私の息子に遥さんを嫁にと言う話になってるんだが……どうかね?」




「あの、私なんかでいいんでしょうか?」




なんて言うと誠さんの御両親は快く頷いてくれた。その後話はうまくまとまり、私の両親は帰って行った。