雪のなかに猫





することも無く部屋でモモと戯れていら夕方になっていた。そしたら、トレーを持って部屋を訪れてきた田端さん。




「お嬢とモモ。夕飯持ってきましたよー」



「ありがとうございます。」



机の前に座りお礼を言うと、驚いた顔で私を見る田端さん。




「なんですか。」



「いやー。なんだかんだお嬢と8年近くいたけど……お礼言われたの地味に初めてだなーって。」



なんて言いながらトレーを机に置いてモモの前にも置く。




「8年なんだねー。田端さんが私の世話を任されてから。」



「んー。だいたいそのぐらいだと思う。でもまぁ、お嬢の妹よりマシだったー」



「よりって何よ。より、って」



「ん?だって、お嬢はほっておいても自分のことはちゃんとするし?大体のこと自分でしちゃうから楽だったなーって!でも、勝手にどっか行っちゃう癖があるから大変だったけどなー。それに比べお嬢の妹は全て任せっきりじゃん。どこの姫だってーの。」



「どこの姫って……城内の姫でしょ?」




なんて言う私にそれなー。って笑っていた。
やっぱり彼の笑った顔を見ると何処と無く誠さんと弟さんに似ている。



そんな私にどこまで誠さんが好きなんだってーの!と突っ込んで苦笑していたらそれを見た田端さんが、何一人で笑ってんの?って気味悪がられたのは言うまでもない。





「そうそう、明日後日の服はこれを着ろだってさー」




そう、言って渡されたのは赤いドレス。体のラインがハッキリわかるだろうな……そう思いながらも受け取りハンガーにかける。




「ほら、そういうとこよ。」



「どういうとこよ。」




なんて聞くとハンガーを指でさす。


「お嬢の妹は自分でハンガーにかけねーぞ?」



「…………。これぐらい自分でかけれるじゃん。」





そう呟いて元いた場所に戻り食べるのを再開する。それを見ながらも田端さんは斜め横の机のあいてる場所に肘をつき私を眺めている。




「仕事は?」



「お嬢のお世話が仕事ですけど?」



「……。ご飯は?」



「後で食べるって決まりでーす。」




ああ言えばこう言う。と、返事を返され戸惑っていたらモモが軽い猫パンチを田端さんに繰り出していた。




「ごめ、話に聞いてたけど、君ってほんとにお嬢好きなんだね。」




なんて言いながらモモを抱え撫でている田端さんに首をかしげていたら




「どうしたんですか?」



「え、いや、さっき……話しに聞いてたけど……って、」





聞き返すも気のせい気のせいと笑いかわされた。




気にしないようにしながらも料理を食べていたら。ドレスを見ながら




「やっぱり、このドレスじゃないと思うんだよなー。」



「え?」



「いやーさ。好みが違うんだよな。旦那様も相手の好みをもっと調べるべきだよな〜」



「田端さんは田端さんって言う人を知ってるの?」



「おっと、そこはノーコメで!よし、終わったな!片付けてくるわ!」





そう言って話を誤魔化すように部屋から出ていってしまった田端さんにモモが一鳴きしてベットに飛び乗って丸まって寝てしまった。